突然のエモ

 

最近は専らクラシックばかり聴いていたのだが、鬼リピしすぎてしまい、違うテイストの音楽に触れたくなった。そこで、アップルミュージックをシャッフルしてみることにした。すると、流れ出したのはJustin Bieber のMy favorite girlという曲だった。

 

この曲は、中学1年のときに数学を教えてくれた家庭教師から教わったものだ。聴くのが久しぶりすぎて、どうしようもなくエモーショナルな気持ちになった。そして同時に、その先生のことも思い出した。

 

 

 

私には2歳年上の姉がいる。姉は駿台という塾の集団コースでバリバリ勉強をしていて優秀だったが、残念ながら、私は姉ほど勉強が得意ではなかった。そのため、母は、私には集団塾よりもゆっくりと教えてもらえる家庭教師の方がふさわしいのではと考えた。

 

そうして、私は先生に出会った。

 

先生は一橋大学に通う大学3年生で、おっとりしてかわいい人だった。中1の私にとって大学生という存在はひどく神々しく思え、はじめは緊張してしまったが、先生の穏やかな雰囲気はあがり症の私を和ませてくれた。

 

週に1度、おやつを食べながら勉強をしたり雑談をしたり。この時間は私にとって至福だった。特に、先生が私におすすめの音楽を教えてくれる休憩時間が最高に楽しかった。

そのときに知った曲のひとつがJustin Bieber のMy favorite girlだった。今思えば、先生は、英語の勉強にもなるかもという理由で私にすすめてくれたのかもしれない。

 

私は先生を敬愛していたが、中1のクリスマスごろ、先生は家庭教師をやめることを悲しそうに告げた。はっきりとは覚えてないけれど、たしか、就活に本腰を入れたい、といった理由だった気がする。

やめるとき、先生は「マナコレちゃんの先生でよかった。マナコレちゃんは何にでもなれる力を持ってるんだよ。」と言ってくれた。

 

私も先生の生徒でよかった。

8年前のあのゆったりとした時間がなければ今の私はいない、と言っても過言ではないかもしれない。

 

 

今、先生はどうしているだろうか。

元気だといいな、と心から願う。