文転したい

今日のブログは私が所属するサークルの後輩によるものである。

(執筆ありがとう!!)

 

1限と2限に出なかった。
はっきり言って線型空間にも電磁気にも興味はない。
嘘だ、眠りたかったのだ。
いや違う、やっぱりあまり興味はない。

ドアを開けたらもう昼だった、清々しいほどの真っ昼間だった。

歩いて最寄り駅に着いた。
そこで人助けをした。
といってもべつに大したことはしていない。
おじいさんが大きな荷物を持ち上げてよたよたと階段を上っていたから手伝っただけである。
「重いでしょう、持ちますね」と言った。
耳も遠かった。
わたしのことばを聞き取れておらず、横から荷物を持ち上げたら、一瞬怪訝そうな顔をされた。
わたしの顔を見て、状況を理解して、おじいさんはひとことこう言った。
「すまんな」
わたしはちょっと微笑んだ。

そして不覚にも、「『ありがとう』じゃないんだ」と思ってしまった。

そして電車に乗り、
大昔のひとつの別れを思い出した。
ああ、あのときも「ごめんね」と繰り返されたなあと思った。

あのとき「ありがとう」と言われていたら、わたしの記憶は今、まったくの別物だったんだろう、ありがとうと言われたかったな、と思った。

ありがとうって言ってくれなかったから、謝られてばかりだったから、自分はあんなにぎゃんぎゃん泣いていたのかなと思って恥ずかしくなった。

しかしそこでふと、じゃあわたしはどうだっただろうと考えた。

覚えていない。

わたしはありがとうと言ったのだろうか?

一方的に求めすぎていたのかもしれない。

この場所で、きらびやかな、あっという間の春と夏をひとつずつ過ごした。
革靴を大切にしていたら面白いあだ名がついた。
数学が難しい。
映画を撮っている。

 

一緒に東京に来れると思ってたよ。

 


元気でね。