夏目漱石

今日のブログは私が所属するサークルの後輩によるものである。

(執筆ありがとう!!)

 

最寄り駅の警備員のおじさんが、気持ち良さそうに鼻歌を歌いながら空を見上げた。私もつられてふと空を見上げると月が綺麗だった。
その日私はバイト帰りで疲れていた。家に帰って「おかえり」って言ってくれる人も急に電話して「疲れたよー」なんて甘えられる恋人もいなくて、バイト前に急いで食べた夕食の汚れたお皿が待っていると思うともう寂しくて悲しくて泣きそうだった。警備員のおじさんはそんな私の表情に気づいてわざと月が綺麗なことを教えてくれたのかもしれない。
私が「月が綺麗だ」と気づいた時は少し自分に酔っている。みんなせかせか歩いてぎゅうぎゅうの電車に乗ってるけど私だけはボーっと上を見て美しいものを見る心の余裕があるんだと思ってしまう。
どこかの文豪が”I love you”を「貴方を愛しています」ではなく「月が綺麗ですね」とでも訳しておけと言ったらしい。私は月が綺麗な夜はその気持ちを独り占めしないで大好きな人たちに伝えたい。