忘れる生き物

夏休みが始まるすこし前に、大学の近くにイタリアンのお店がオープンした。 比較的リーズナブルで、しかも浅蜊のペペロンチーノが絶品らしい。

毎日、おいしそうなイタリアンのお店を横目に、そのうち行ってみたいなあ…と考えながら急ぎ足で歩く。(スタスタ歩かないと1限に遅れてしまう!)

けれど、今日は立ち止まってしまった。

あれ? このお店、オープンする前ってなんのお店が入っていたんだっけ?

いつも通っていたはずなのに、どうしても思い出せない。

人間は忘れる生き物だ。 すべてを覚えたまま生きることなどできない。 記憶しておくべきこと。さして必要のないこと。 脳が取捨選択してくれないと頭の中がパンクしてしまう。

仕方のないことなのかもしれない。 でも、すこし切ない気持ちになってしまう。 前のお店に対して、思い出せなくて申し訳ないなあ、という罪悪感を抱く。

もしも私が死んだら。 わりとすぐに忘れられてしまうのかも…。 ちょっと切ない。笑